成年後見制度について
任意後見の仕組み
「任意後見」の仕組み
概要は以下の通りです。
- ご本人の判断力がしっかりしている間に、将来を任せられる後見人をご自身で決めておく仕組みです。
- ご本人自身で、信頼できる後見人を自由に選ぶことができます。(任意後見受任者といいます。)
- 後見人に任せたい内容(仕事の範囲)を決めて、公証役場で公正証書による契約書「任意後見契約書」を作成します。
- ご本人の判断力が低下したときには、家庭裁判所で後見人を監督する人を選任してもらう手続を取ります。
- それにより、任意後見受任者は正式の後見人となり、後見監督人の指導の下で、ご本人の生活を支援し、見守ります。
任意後見 利用開始のタイミング
任意後見の利用手続きの流れ
後見サービスを受けるご本人(例:70歳 父)と、後見人を引き受ける人(例:35歳 長男)との間で「任意後見契約」を結びます。
- この契約書は公証役場で、公証人が当事者双方と面談の上、契約締結の意思と契約内容が理解されていることを確認して公正証書契約書として作成されます。
- この契約書には、後見人に委任する仕事の内容を書いた「代理権目録」が添付されます。
- ご本人の判断力が低下する状態になったときは、ご本人の同意を得て、後見人受任者などが、家庭裁判所「任意後見監督人」選任の手続きを行います。(同意が得られない場合でも可能です。)
- 家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後に、後見人が任意後見契約書に基づいて、代理権目録に記載された範囲内の仕事を、ご本人の代理として遂行することになります。
- 任意後見事務開始直後の仕事として、後見人が任意後見監督人立会いの下でご本人の財産目録を作成し、そこから後見人と支店お仕事が開始されます。
- 後見人の責務は、基本的にはご本人がお亡くなりになるまで続きます。その後、預かっていた財産などを整理した上で、それらを相続人などに引渡します。
任意後見の手続上の留意点
以下の点にご留意ください。
- ご本人が、任意後見契約の内容を理解できることが必須の条件です。
- 理解できているかどうかの判断は公証人が行います。
- 契約の内容について、公証役場で事前相談が可能です。
- 必要書類(戸籍謄本、住民票、印鑑証明書)は事前に公証役場に提出し、契約当日には双方の実印が必要です(実印を忘れると契約は中止されます)。
- ご本人と後見人が公証役場に出向き、「任意後見契約公正証書」の作成を依頼します。
- 病気などで公証役場に行けない場合は、公証人に出張を依頼します(別途、出張料・交通費が加算されます)。
- 京都には、京都公証人合同役場、宇治公証役場、舞鶴公証役場、福知山公証役場が利用できます。
- 公正証書契約書は、正本と謄本がご本人と後見人にそれぞれ渡されます。
- 公正証書の契約内容は、東京法務局に登記されます。
ご本人の判断能力が衰えたときの手続き
主として任意後見受任者が以下の手続きを取ります。
- ご本人の住居地を担当する家庭裁判所に「任意後見監督人選任の申立」手続きをします。
- 家庭裁判所が指定する書類一式の提出が必要です(法定後見の後見開始に準じます)。
- 各都道府県の裁判所によって様式が違います。
- 京都の方は、京都家庭裁判所の「申立手続の案内」のページから入手できます。
- 当事者の面談が実施されます。
- 家庭裁判所は診断書等で、本人の意思能力が不十分かどうかを審理し、適正と判断した場合には任意後見監督人を選び、その決定を通知します。
- 家庭裁判所は、任意後見監督人を選任について東京法務局へ登記手続を取ります。
- 後見監督人が正式に選任された時点から、任意後見人は「任意後見契約書」の内容に従って、後見人としての仕事を始めることができます。
- 後見人は、1ヶ月以内に後見監督人立会いの下で財産目録を作成します。
- 後見監督人の立会なしで作成された財産目録は無効です。
- 後見人は後見監督人に、本人の状態、財産管理の状況を定期・不定期で報告します。
※家庭裁判所により任意後見監督人が選任されるまでは、任意後見契約の法的効力は発生せず、任意後見人としての仕事は始めることができません。
任意後見契約の手続き
手続場所は住所地に近い公証役場です。
公証役場へ出向くことが困難な場合には、公証人に出張を依頼できます。
※出張料金が加算されます。
用意する書類等は以下の通りです。
ご本人の | ||
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戸籍抄本 | 1通 | 本籍地の市区役所で入手 |
住民票 | 1通 | 住所地の市区役所で入手 |
印鑑証明書 | 1通 | 同上 |
後見人を引受ける人の | ||
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住民票 | 1通 | 住所地の市区役所で入手 |
印鑑証明書 | 1通 | 同上 |
任意後見の後見人報酬
後見人の報酬額は、ご本人(委任者)と後見人を引受ける人(受任者)との間で、自由に取り決めをすることができます。
上限額や下限額はありません。
※報酬の有無と報酬額は、必ず任意後見契約書に明記します。
※専門職などの第三者に後見人に依頼する場合は、事前にそれぞれの報酬規定を確認しておく必要があります。(報酬の月額は3万円前後)
任意後見人の事務費・諸経費
法定後見人の場合と同様に、発生した交通費その他の実費が請求されます。
後見監督人の報酬
任意後見契約では、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されるため、その報酬も発生します。
(月額1万円~2万円前後)