拡張型任意後見契約は、「任意後見契約」に「委任契約」と「死後事務委任」を加えてひとつの公正証書契約書にまとめたものですが、ご要望によりその一部を選択して契約することもできます。
「任意後見契約」が有効となるのは「将来、ご本人の判断能力が低下した時」であり、それが何年先のことかは誰にも分かりません。
判断力はしっかりしていても、身体が不自由で「遠い将来のことより、今すぐ生活の支援を頼みたい」と思っている方も多くおられます。
「任意後見契約」のみでは不可能ですが、「委任契約」を追加しておけばそのようなご要望にもすぐに対応できます
また、「任意後見契約」は、ご本人の死亡によりその効力を失いますので、「死後についてのご要望」には対応できません。
身寄りがなく死後のことが気がかりな方などは、「死後の事務委任契約」を追加して、自分の死後に対応してもらいたい内容を具体的に決めておけば、不安を大きく軽減することができます。
「委任契約」を加えると、契約締結の日から任意後見受任者による以下のような生活支援を受けることができます。
「死後の事務委任契約」を加えておくと、万が一の時、任意後見受任者は以下のことを代行することができます。
ご本人の判断力が低下してきたときには、速やかに「委任」の状態を停止し、「任意後見人」としての仕事が開始できるよう、家庭裁判所で任意後見監督人を選任する手続きを取らなければなりません。
「委任契約」が有効な間は、任意後見受任者を監督する人は選任されませんので、その期間に財産管理などを依頼する際には、その都度、依頼する内容を具体的に指示して、預金通帳やその他の重要物の返還受領も確認して、預けっぱなしにするようなことがないように注意が必要です。
※預貯金通帳などの重要書類は、ご本人が希望された場合に限って任意後見受任者が一時的に預かり、依頼された仕事が完了したときにはご本人に返還します。
「拡張型任意後見契約」の拡張部分、「委任契約」と「死後事務委任」はいつでも解約したり、契約内容を変更したりすることができます。
定期的に内容を見直して、不十分な点が見つかったときは、受任者と話し合って変更等の手続きを進めましょう。